写真家として広告業界で活動後、2013年に株式会社ライフマーケットを創業。広告企画・ 映像制作・空間プロデュースなど複数事業を展開し、クリエイティブと経営を両立させな がら組織を成長させてきた。
カンヌ国際クリエイティブ・フェスティバル ファイナリスト をはじめ、国内外のアワード受賞歴多数。感性だけに頼らず財務戦略と向き合うことで、「文化として残る会社づくり」を追求している。
山根会計に依頼したきっかけは、元社長が独立して10年が経った頃だった。30歳で起業し、最初は別の会計事務所にお願いしていたが、事業の挑戦が増えるにつれ「会計も新しい視点で学び直したい」という思いが芽生えた。
ちょうど飲食事業「ハーバークラブ」を 立ち上げるタイミングでもあり、事業の幅が広がる中で“これまでと同じやり方のままではいけない”という感覚があったという。紹介してくれたのは、TRADEMARKの山本社長。山根会計とは父の代からの付き合いがあり、数字に厳しく信頼できる人物からの推薦 は大きかった。「山本さんのことは信頼しているし、数字にうるさい方なんで。その方がお願いしてるっ てことは、相当頼れるんだろうなって。」山根先生側も同じ印象を抱いていた。「仕事をバリバリやっているから、ここに財務の知識が加わると次のステージへ行ける」と言われ、実際に元社長は計画通りに進んでいった という。元社長自身も以前から山本社長に「ちゃんと会社にしていかなきゃダメだよ、勉強しなきゃダメだよ」と言われ続けていた。クリエイター気質で、つい“制作の勢い”で走ってしまう自覚があったからこそ、環境を変えることは前向きな決断だった。
税務を「任せる」ためではなく、財務「学び、使い、次の挑戦に変える」ために。山根会計との出会いは、ライフマーケットが“事業として強くなる”入り口になった。
当時の課題は明確だった。元社長は率直に言う。「めちゃくちゃあって。数字見ててもひどかった、俺。」
制作業は粗利が大きく、原価を強く意識せずとも売上が立ちやすい。その感覚のまま飲食に踏み込んだことで、資金が“出ていく構造”の怖さに直面した。銀行が貸してくれるから「えいっ!」と始めたものの、貸借対照表も見たことがない。決算書を 渡されても「赤字なんですね」程度で、どこをどう直すべきか分からない。売上は作れても、手元資金が減っていく。そこで初めて「ちゃんとやらないといけない」と腹を括った。
転機のひとつはコロナだったという。外部環境が急変する中で、売上=利益という感覚が 通用しないことが露わになった。仕入れ、粗利、固定費、人件費……10円、1円単位での積み上げが必要になり、数字の面白さに気づいていく。「数字覚えるまでは経営めんどくさい、つまんないと思ってた。でも決算書が読めるようになると、めっちゃ面白くなる。 ビジョンを叶えるためのピースになる。」
山根先生は、目標設定の重要性を強調する。ゴールが明確なら、決算書の作り方も銀行評価の取り方も変わる。節税のために利益を圧縮するのか、成長のために利益を出して純資産を積むのか。元社長は後者を選び、未来計画とセットで財務を組み立てた。「税金払いたくない」ではなく、「会社を強くする」ために数字を使う。その姿勢が、経営の変貌を生んだ。
元社長は、山根会計を一言で表すなら「ドクター」だという。会計財務は経営にとって血液のようなもの。止まれば終わりで、穴が開けば一気に失血する。だからこそ、日常的に 状態を見てもらい、最適な回し方を一緒に考える存在が必要だと語る。企業によって“走り方”は違う。どれくらい成長したいのか、何を守りたいのか、そのゴール設定次第で財務戦略は大きく変わる。山根先生も「社長自身が数字に強くなること」を支援の中心に置 く。月一回の面談だけではなく、残りの29日を社長が判断する。その判断力が上がれば会社は必ず良くなる。
特にクリエイティブ企業には独特の葛藤がある。「クリエイティブだから分からない」という言い訳が生まれやすい。しかし元社長は、それをきっぱり否定する。分からないのは特別だからではなく、まだ価値を因数分解できていないだけ。言語化し、理論化できれば、数字とも繋がる。クリエイティブと経営は対立ではなく両輪であり、渋沢栄一の「論語と算盤」のように、良い作品だけでも赤字では続かないし、利益だけでも意味が薄い。そのバランスを“会社ごとにカスタムする”のが山根会計の役割だ。
ライフマーケットは今、分社化・ホールディングス化を視野に事業を増やし、60歳で次世代へ承継する構想を描く。元社長にとって経営は「脚本」であり「監督」。法人という目 に見えない存在に、理念と物語を込めて、人が集う“文化”へ育てること。その未来の脚本 を現実にするために、財務という血液を整え続ける。山根会計との伴走は、挑戦を続ける ための生命線になっている。